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【犬の下痢・腸炎】タンパク漏出性腸症と診断された!寿命・適切なフード・手作り食について|獣医師が解説 2020年12月02日

【犬の下痢・腸炎】タンパク漏出性腸症と診断された!寿命・適切なフード・手作り食について|獣医師が解説 

犬の下痢・腸炎】タンパク漏出性腸症と診断された!寿命・適切なフード・手作り食について|獣医師が解説 うちの犬が、下痢をしたり、しなかったりを繰り返すようになった

元気で食欲もあるけど、体重が減り、疲れているように見えることが多い

お腹が張って水のようなものが溜まっている気がする

ということはありませんか?

もしかすると蛋白漏出性腸症を発症しているかもしれません。

では蛋白漏出性腸症とは一体どのような症状を示し、何が原因で発生してしまうのでしょうか?

今回は蛋白漏出性腸症の原因・症状・食事や治療についてお話ししたいと思います。

蛋白漏出性腸症とは?

蛋白漏出性腸症は特定の病気ではなく、基礎疾患により、血液中のタンパク質が消化管へと漏れてしまう状態を指します。

蛋白漏出性腸症になると、血液中のタンパク質が失われてしまい、様々な症状を発症します。

これを低蛋白血症と呼びます。血液検査では、アルブミンという蛋白質の値が2.0未満になってしまいます。

低蛋白血症が重症化すると、腹水や足の浮腫を引き起こします。

蛋白漏出性腸症の原因となる基礎疾患は?

蛋白漏出性腸症を引き起こす可能性のある病気には以下のものがあります。

・リンパ管拡張症 – – 消化管内のリンパ管が拡張すること。

・消化器型リンパ腫– – – 消化管におけるリンパ組織の癌

・腺癌

・リンパの流れを妨げる消化管内の肉芽腫性組織の浸潤

・右心不全によりリンパ系の圧力が上昇した状態

・ウイルス性胃腸炎(パルボウイルス感染など)

・細菌性胃腸炎(サルモネラ菌感染など)

・真菌性胃腸炎

・寄生虫性腸炎

・炎症性腸疾患(IBD

・食物不耐症

基礎疾患の診断は、画像診断や内視鏡下での胃・腸の生検により行います。

蛋白漏出性腸症の好発犬種

2199233_s蛋白漏出性腸症の原因となる基礎疾患は多岐にわたっているため、年齢、犬種、性別を問わず、蛋白漏出性腸症を発症する可能性があります。

また、ヨークシャー・テリアは、蛋白漏出性腸症は起こりやすい傾向にあります。

蛋白漏出性腸症の主な症状は下痢じゃない?

最も一般的な臨床症状は、下痢、嘔吐、体重減少ですが、中には嘔吐や下痢をしない犬もいます。

ゆえに下痢を起こしていないから、蛋白漏出性腸症でないと決めつけてはいけません。

重症になると、体重が減少したり、無気力になります。

他には、腹水・胸水による呼吸困難、四肢の浮腫、血栓が肺に移動することで呼吸困難(肺血栓塞栓症)が起こります。

蛋白漏出性腸症の治療法は?

蛋白漏出性腸症の治療は、食事療法に加えて、基礎疾患を治療するための特異的な治療IBDの場合はステロイド、リンパ腫の場合は化学療法など)が必要となります。

また蛋白漏出性腸症の犬は、小腸からビタミンB12(コバラミン)を吸収できないため、血清中のコバラミン濃度が低いことが多いです。

その場合、皮下注射でコバラミン(シアノコバラミン)を投与することで、消化器症状や食欲を改善できることもあります。

蛋白漏出性腸症の食事療法

ロイヤルカナン 消化器サポート低脂肪蛋白漏出性腸症を有する犬では、腸が栄養素を適切に消化・吸収することができないため、適切な療法食を与える必要があります。

軽度の低アルブミン血症(1.5 <アルブミン< 2.0 g/dl)の犬には、まず市販の療法食を与えます。

蛋白漏出性腸症の食事管理のポイントは、低脂肪で消化性が良い食事をを与えることです。

また、食物繊維はタンパク質の利用効率と消化性を低下させるため、蛋白漏出性腸症を患っている症例にとって有害である可能性があります。

食物繊維を多く含まない低脂肪食(<3g/100kcal)としては、Royal canine 消化器サポート低脂肪などがあります。

自家製(手作り)の療法食について

82781_s自家製療法食は超低脂肪食という蛋白漏出性腸症用のご飯を作ります。

重要なポイントは、タンパクと炭水化物の比率が12になるようにすることです。

材料としては、タンパク源としてささみ(皮なし)、炭水化物源としてじゃがいも(皮なし)を使用することが多いです。

また非常に嗜好性が高いので、バクバク食べてくれる症例がほとんどです。

超低脂肪食は高い治療効果を発揮することもありますが、栄養バランスが適切ではないため長期投与を行う際は注意が必要です。

時に、市販の低脂肪食と超低脂肪食をミックスし、栄養バランスを整えることもあります。

蛋白漏出性腸症の予後・寿命

食事療法と薬物療法でコントロールできる蛋白漏出性腸症の場合、予後はかなり良好です。

ですが、重症の犬では治療に反応しなかったり、再発が起こるなどし、合併症や蛋白漏出性腸症の悪化に陥ることがあります。その場合、数ヶ月以内に亡くなってしまう事があります。