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【猫の肥大型心筋症|長生きできるの?】呼吸が荒い・ぐったりしている|もしかすると肥大型心筋症かも?獣医師が最新論文を交えて徹底解説2021年09月01日

【猫の肥大型心筋症|長生きできるの?】呼吸が荒い・ぐったりしている|もしかすると肥大型心筋症かも?獣医師が最新論文を交えて徹底解説

【猫の肥大型心筋症|長生きできるの?】呼吸が荒い・ぐったりしている|もしかすると肥大型心筋症かも?獣医師が最新論文を交えて徹底解説

肥大型心筋症は、猫の心疾患の中で最も多く診断される疾患です。

猫の肥大型心筋症は、猫の心臓の筋肉の壁が厚くなり、心臓の効率が低下し、時には体の他の部分にも症状が現れる病気です。

 

肥大型心筋症は、生後4か月から20歳までの猫で幅広く診断されます。

 

肥大型心筋症の発症の仕方は先天性後天性に分けることができます。
先天的(遺伝的)な肥大型心筋症は、猫が若いときに発症し、重篤で致命的です。
後天性は、10歳を超える高齢猫で見られ、弁膜症や甲状腺機能亢進症などに続発することがあります。

猫の肥大型心筋症の原因

肥大型心筋症は、以下の特定の品種で多く認められます。
・メインクーン
・ラグドール
・アメリカンショートヘア
・ブリティッシュショートヘア
・スフィンクス
・ペルシャ
肥大型心筋症を患っている猫の中には遺伝子の変異が確認されていることから、遺伝が関係している事も考えられています。

肥大型心筋症の猫では、心臓の左心室が肥厚し、心室の容積が減少し、心筋が異常に弛緩します。
これらの変化により、心臓の拍動が速くなり、酸素消費量が増加し、心筋が酸素不足に陥いります。
この酸素不足により、心臓の細胞が死滅し、心臓の機能が悪化し、不整脈が発生することがあります。

これらの障害に加えて、血液の循環が悪化すると、心臓の他の部屋や肺への負荷がさらにかかり、うっ血性心不全の発症(肺水腫・胸水)や心臓内での血栓の形成の原因となります。

 

猫の肥大型心筋症の症状

初期段階では、病気の兆候が見られないことがほとんどです。

胸水貯留を引き起こした猫の肥大型心筋症のレントゲン

胸水貯留を引き起こした猫の肥大型心筋症のレントゲン

また猫は症状を隠すのが上手なので、飼い主様は症状に気づかないことがよくあります。多くの場合、心筋症がかなり進行するまで診断するのは困難です。

進行すると、呼吸が速くなったり、口を開けて呼吸したり、元気がなくなったりと症状を示す猫もいます。
最終的には肺水腫や胸水が溜まり、呼吸困難を引き起こしてしまいます。

また肥大型心筋症では、心臓内に血栓が形成されることがあり、生命を脅かす可能性があります。
血栓は、血流に乗って体内の血流を阻害することがあります。

血栓の影響はその場所によって異なりますが、肥大型心筋症の猫では、血栓によって後肢の血流が阻害されることが最も多く、急性の後肢痛や、ひどい場合には後肢麻痺を引き起こします。これを動脈血栓塞栓症といいます。
血栓症は、発症すると極めて死亡率の高い合併症です。

 

猫の肥大型心筋症の診断

猫の肥大型心筋症の診断

胸水・肺水腫を併発した猫の肥大型心筋症のレントゲン

肥大型心筋症の診断には、心エコー検査が用いられます。
肥大型心筋症を発症した猫では、心臓の左心室の壁が厚くなり、容積が狭くなっています。
しかし、心臓の肥厚は、慢性腎不全や甲状腺機能亢進症などの高血圧を引き起こす他の疾患によっても起こります。
心エコー検査を行う前に、これらの病気を除外しなければなりません。

身体検査や心エコー検査と共に胸部レントゲン写真で胸水や肺水腫が起こっていないかの確認を行う事や心電図・血圧測定などの他の検査も猫さんになるべくストレスをかけないよう行う事も重要です。

猫の肥大型心筋症の治療

治療法はそれぞれのケースによって異なりますが、人間にも使用される多くの薬を使用します。

利尿剤:うっ血性心不全がある場合に投与します。

βブロッカー:心拍数が過剰な場合、心拍数を下げるため投与します。

カルシウム拮抗薬:心筋を弛緩させる作用があります。

アスピリン・クロピドグレル:血栓形成や血栓塞栓症のリスクを減らすために、アスピリンやクロピドグレルと呼ばれる抗血栓薬が使用されることがあります。

ACE阻害剤:

ピモベンダン: いわゆる強心薬です。心臓の収縮をより効果的に行う薬です。

 

猫の肥大型心筋症の食事療法

心筋症の猫には、低ナトリウムの療法食が推奨されます。これにより、うっ血性心不全や高血圧症を発症するリスクを減らすことができます。

猫用のおやつや市販の食事はかなり塩分が多いので、避けた方が良いでしょう。   

猫の肥大型心筋症の予後

肥大型心筋症の猫の予後は様々です。
臨床症状を示さない猫は、何年も生存できることが多いです。
血栓塞栓症を患ってしまった猫は数日で亡くなってしまう事が多いです。

肥大型心筋症は進行性の疾患であることがほとんどで、予後の悪化を示唆する所見としては、うっ血性心不全、血栓塞栓症、低体温(低体温)などが挙げられます。

多くの場合、内科的治療によって猫の生活の質を大きく改善することができます。