犬と猫の歯周病とデンタルケア

(最終更新日:2019年10月25日)

 

歯周病は、病気だと思われていないかもしれませんが、れっきとした口の中の病気です。
3歳を過ぎると多くの子で発症し、歯が抜けたり、痛みでご飯が食べられなくなったりします。重症化すると心臓や腎臓といった内臓も障害されます。
当院では、診察で口の中を毎回チェックしています。

当院でできる治療

・歯磨き指導と歯磨き用品

初心者向きから上級者用までやり方も道具も様々、獣医師と一緒に取り組みましょう。

・抗生物質

リンコサミド系抗生物質のクリンダマイシン製剤などを使用します。歯周病の原因となる口腔内細菌を倒します。

ただ、残念ながらあくまで一時的な処置です。

全身麻酔が必要な治療

・超音波スケーリング

歯石を除去し歯をピカピカにします。

左が超音波スケーリング前で右がスケーリング後の歯です。

スケーリング処置前の歯スケーリング処置後の歯

 
・抜歯

壊れかけている歯を除去し、周囲をきれいにします

ワンちゃんやネコちゃんは
歯磨きしなくても虫歯にならないんでしょ??

確かに歯自体の疾患はそこまで多くありません。

しかし、人間と同じで歯周病は普通に発生し、3歳以上の犬では70%以上が歯周病という報告もあります。

では、歯周病はどのように進行していくのでしょう?

まず原因は、普段食べている食べ物です。食べ物が歯の隙間に残っていると、元々口の中にいる細菌がその食べ物を栄養にして増殖します。

すると、細菌の代謝物がたまって、「歯垢」ができます。ここで歯みがきをしなければ、歯垢は約3日で「歯石」になり、歯に定着してしまい、歯みがきでも取れなくなります。

この歯石は細菌の塊ですから、そこにあるだけで周りの歯ぐきを刺激して炎症を起こし、口臭や痛みを伴い、どんどん歯ぐきが痩せていきます。

ひどくなると、周りの骨も溶かされて、歯が抜け落ちてしまいます。最悪の場合、骨がぼろぼろに溶けて顎を骨折してしまったり、細菌が全身に回って心臓や肝臓、腎臓が障害されて命に関わることもあります。歯ぐらいほっておけばよいと思っていると、思わぬ落とし穴にはまってしまうということです。

このような病気を防ぐために何が一番重要かといえば、もちろん「歯みがき」です。一番理想的なのは、犬猫用歯ブラシで毎日隅々まで磨いていただくことですが、急に歯ブラシを口に突っ込んでも皆さんびっくりして嫌がりますよね。

一度歯みがきが嫌いになってしまうと、あとから矯正するのは難しいので、焦らずゆっくりと歯みがきを始めていただくことをお勧めします(半年くらいを目安に)。まずは指で口を触る練習です。

これだけでもお家だとなかなか大変です。おやつに歯みがきガムや歯みがきペーストなどをあげ、ちょっとずつ頻度を上げていき、奥の方まで触らせてくれるようになったらデンタルシートや歯ブラシを使い始めてみましょう。

ここで重要なのは、1週間に1度徹底的に歯みがきするより、 毎日適当に歯磨きする方が効果的だということ です。歯みがきするのが日課になれば、口の中の健康が保たれるだけではなく、ご家族とワンちゃんネコちゃんの信頼関係もより深まることでしょう。

 

お家で楽しく歯みがきグッズ

歯みがきペースト
なめるだけで酵素が口にひろがり、 歯垢を分解歯みがきペースト
デンタルブラシ
動物用のちょっと小さめの歯ブラシ
デンタルキット
ブラシとペーストのセット
ベジタルチュウ
酵素配合歯みがきガム、
長くかむことで物理的な歯みがき効果歯みがきペースト
デンタルシート
特殊マイクロファイバーが歯石をしっかり除去、歯ブラシよりお手軽

ワンちゃんネコちゃんの歯周病の状態や進行具合、食生活、性格は十人十色なので、歯の定期健診は非常に重要です。

その子に適した予防や治療を提案させていただきますので、お気軽に病院へお越しくださいね。