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FCMを用いた犬のリンパ腫の診断

当院ではフローサイトメーターという検査機器を導入しております。おそらく世界的にみても一般的な動物病院でこの機器を所有する病院は当院の他にないのではないでしょうか。当院では将来の獣医療にグローバルに役立つ研究を行っており、フローサイトメーターは先進的な研究に大きく貢献しています。

フローサイトメトリーとは?

フローサイトメトリーとはフローサイトメーターという機械を使用して細胞がどのような細胞であるかを解析する手法のことです。(ここでは細胞と表記しますが、細胞以外の粒子も計測することができます。)

どういう仕組みなの?

まず細胞をバラバラにして、目的の細胞に特徴的な構造「表面抗原」にくっつく「抗体」を反応させます。これを抗原抗体反応といいますが、例えるならば鍵と鍵穴の関係で、1つの抗原には、ある決まった1つの抗体しかつかないようになっています。そして、この抗体にはレーザー光があたると光る「マーカー」(下の図の赤い丸)をつけておきます。

この反応をさせた後でフローサイトメーターにかけると1秒に数万個の細胞を検査することができます。さらに、抗体をいくつか合わせて使うことで、どんな細胞がどんな割合でいるのかを短時間で知ることができます。

なぜリンパ腫の診断が重要なのか?

犬の血液の腫瘍で多いのが、白血球の中のリンパ球がガンになるリンパ腫という悪性腫瘍です。リンパ腫にもいくつか種類がありますが、その中でも複数のリンパ節が腫れる多中心型リンパ腫の発生が多い(約80%)です。

リンパ球にはB細胞、T細胞、NK細胞の3種類がありますが、リンパ腫で多いのはB細胞型とT細胞型です。一般的にB細胞型リンパ腫は化学療法、いわゆる抗ガン剤がある程度効きますが、T細胞型とNK細胞型リンパ腫は効かない場合が多いです。

化学療法はガン細胞だけではなく、正常な細胞も攻撃してしまうため、副作用も少なくありません。化学療法が効かないリンパ腫で化学療法を行なえば、副作用で苦しむだけになってしまいます。しかしながら、現在の獣医療ではリンパ節を針で刺してリンパ球を少量とり、リンパ腫が疑われれば化学療法を行なう、というケースが多いのです。

重要なのは、腫れているリンパ節を取り出し、どのタイプのリンパ腫なのかをしっかり検査することです。ヒトではこれが徹底されており、診断と治療法の決定に不可欠であるとされています。ヒトでは顕微鏡でリンパ節のどの部分に腫瘍細胞がいるか、フローサイトメトリーで腫瘍細胞がどのような細胞なのかをみて、確定診断した上で治療法を決定しています。獣医療でもこのようにしっかりとした診断、治療を行なうべきであると、我々は考えています。

当院での研究

リンパ腫が疑われる子から摘出したリンパ節の半分を病理検査(顕微鏡でみる検査)、もう半分をフローサイトメトリーに出します。病理検査では腫瘍細胞の場所と種類を診てもらいます。フローサイトメトリーでは病理検査では分からない細胞のより詳しい特徴まで知ることができ、さらにその細胞の割合まで数値化することができます。こうして病理検査とフローサイトメトリーの結果を統合してしっかりとした診断ができるのです。
今後、その診断に対する治療の効果、生存期間などを調べて、診断されたリンパ腫のタイプにはどの治療法が最も適しているのかまで研究したいと考えています。

フローサイトメーターSpace導入事例インタビュー