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猫エイズ(FIV)の正しい知識を身につけよう~口内炎・検査・治療について~2019年10月11日

猫エイズ(FIV)の正しい知識を身につけよう~症状・治療・寿命について~

猫エイズ(FIV)症状・検査・治療・寿命

(最終更新日:2019年11月6日)

 

猫エイズは猫免疫不全ウイルス(FIV)の感染により免疫不全の症状を呈する病気です。ヒトのエイズとよく似た経過をたどります。

大切な愛猫を守るためにもこの病気を「正しく理解」しておく必要があります。

猫エイズは5つのステージに分けられており、どのステージであっても完治させることは不可能です。

ですが、ステロイドやインターフェロンωといった薬を用いることで、症状を緩和することもできます。(猫さんの状態によっては困難な場合もございます)

 

 

特にノラ猫さんを拾ったり、譲渡してもらったり、他の猫さんに噛まれたという場合は、すでに猫エイズに感染している可能性があります

また多頭飼いをしているご家庭も注意が必要です。

 

一方、人間に猫エイズが感染することはありません。

 

猫エイズウイルスの感染経路

猫エイズウイルス(FIV)は主に猫同士のけんかなどによる咬傷で唾液や血液中に含まれるウイルスが相手の傷を介して感染します。

猫の多頭飼いをしている場合には、感染リスクはより高くなる傾向にあります。

特に、猫エイズに感染している口内炎や歯肉炎など症状が発症している猫に咬まれると、感染するリスクが高いと言われています。

また、猫同士が交尾によって感染することはないと考えられています。

 

既出ですが、人間に猫エイズが感染することはありません。

 

FIVキャリアとは

無症状でもFIVに感染している猫をFIVキャリア猫といいます。

FIVに感染していても室内で穏便に暮らしている猫であれば、他の同居猫に感染する可能性はかなり低いですが、屋内と野外を自由に行き来する猫では感染率が15~30%と高く、完全室内飼いの猫よりも20倍感染リスクがあると言われています。

猫エイズの症状

猫エイズは5つのステージ分類があります。

初期の猫エイズは急性期と呼び、末期の猫エイズは後天性免疫不全症候群と呼びます。

症状が分かりにくいステージだと猫エイズと気付けないことがありますので、非常に厄介です。

猫エイズの症状はステージごとで異なっており、多様な症状を示します。
猫エイズのステージは

①急性期
  ⇊
②無症候キャリア期
  ⇊
③持続性リンパ節腫大期
  ⇊
④エイズ関連症候群期
  ⇊
⑤後天性免疫不全症候群期

といった5つのステージに分かれています。
急性期から末期の後天性免疫不全症候群期まで段階的に進行していきます。
以下で各ステージでみられる症状を説明していきます。

 

急性期
FIVに感染すると発熱や下痢、リンパ節の腫大などが起こります。
血液検査では好中球減少症がみられることが多いです。
これらの症状は感染後数週間から4ヶ月程度持続して、感染後4週間で血中の抗FIV抗体が陽性になります。

無症候キャリア期
この時期は特に症状を呈することはなく、数ヶ月から数年持続すると考えられています。

このステージでは症状の発現はありませんので、猫エイズと予測することは困難です。

また次のステージである持続性リンパ節腫大期も同じことが言えます。

持続性リンパ節腫大期
全身のリンパ節の腫大がみられることが多いですが、腫大が明確でないこともあります。

この時期も猫エイズと推測するのは困難と言えるでしょう。

エイズ関連症候群期
口内炎・歯肉炎・上部気道炎・嘔吐・下痢・細菌性皮膚炎などの免疫異常にともなう症状が現れてきます。
口内炎・歯肉炎により口の中が痛いので、食欲が落ち痩せてしまうことが多いです。

後天性免疫不全症候群期
猫エイズの末期で、クリプトコッカス症やヘモプラズマ症といった日和見感染(通常の免疫力があれば感染しない弱い病原体に感染してしまうこと)や貧血・白血球減少症・脳炎による神経症状・リンパ腫などの腫瘍といった免疫不全に関連した症状がみられます。
最終的には衰弱して死に至ります。

 

猫エイズの診断

猫エイズのステージによっては症状から本疾患を疑うことが困難です。

ですので、ベストなのは家に猫を迎えた時点で以下の検査を行うことでしょう。

猫エイズの診断は、一般的には血液中の抗FIV抗体を検出することで行われます。
簡易的なキットを用いることで院内でも診断が可能です。
検査をしたほうがよい猫は、何らかの症状を呈する猫・これから飼育しようとする猫・FIVに暴露された可能性がある猫です。
感染が成立した後にウイルスに対する抗体が産生されるまで約1~2ヶ月かかるので、それまでの期間は偽陰性となる可能性があります。
そのため、1回の検査だけでなく、6~8週間後に再検査する必要があります。
また、母猫がFIVに感染している場合、その子ども(特に6ヶ月齢未満)は母猫からの移行抗体を持っているため、偽陽性となることがあります。
その場合も再検査が必要となります。
日本ではあまり少ないですがFIVワクチンを接種している猫では抗体陽性となるのでFIVの遺伝子を検出するPCR法による検査が必要になります

 

猫エイズの治療法(ステロイド・インターフェロン)

一般的には、日和見感染症に対する抗菌薬や抗真菌薬、貧血に対する増血剤、口内炎などの炎症に対する抗炎症薬(ステロイド)といった対症療法が中心となります。

また、抗ウイルス作用をもつ猫インターフェロンωの投与により生存期間の延長がみられたという報告もあります。
人のHIVの治療に使われている薬が猫でも有効で、ウイルスの増殖を抑えることで口内炎が改善したというデータがありますが、骨髄抑制や嘔吐、下痢などの副作用が強く出る可能性があります。
また、リンパ腫などの腫瘍が見られる場合は、抗がん剤治療を行うこともあります。

 

猫エイズの寿命

病状の進行スピードや日和見感染、リンパ腫の発症などにより寿命は異なりますが、FIV抗体陽性猫の6年生存率は65%と言われています。
また、最初の100日で亡くなった猫を除くと、3年生存率は94%6年生存率は80%と言われています。

 

猫エイズの予防(ワクチン)

猫を屋外に出さないように完全室内飼いにすることが重要です。

また、FIV感染猫とのけんかや血液の接触は避けましょう。

近年、日本でもFIVワクチンが発売されましたが、FIVはいくつかウイルス型をもつため、100%感染を防げるものではありません

また、接種すると抗体陽性となってしまうため、簡易キットで偽陽性と判定されてしまいます。そのため、日本ではFIVワクチンはあまり普及していません。

 

 

今回は猫エイズについてお話しました。新しく猫を飼う方やすでに猫を飼っている方に猫エイズについて少しでも理解してもらえたら幸いです。