【犬の血尿|ストルバイト尿路結石症】溶ける尿路結石症|食べ物・治療法など獣医師が詳しく解説2020年11月20日
【犬の血尿|ストルバイト尿路結石症】溶ける尿路結石症|食べ物・治療法など獣医師が詳しく解説
尿路結石症は多くの犬で発症する泌尿器疾患です。
尿石形成の危険因子として、犬種、性別、年齢、食事構成、水分摂取量、尿路感染症、環境、薬剤投与などが挙げられます。
尿路結石症を患う犬の80%以上がストルバイトとシュウ酸カルシウムが原因です。
若齢の犬ではストルバイト、高齢ではシュウ酸カルシウムが多く発生します。
ストルバイト尿路結石症の分類
ストルバイト結石症は、感染誘発性ストルバイト結石症と無菌性ストルバイト結石症に分類されます。
犬では感染性が7割、無菌性が3割を占めると言われています。
前述のように犬では感染誘発性、猫では無菌性のストルバイト結石症が多く発生します。
感染誘発性に関しては、尿路感染症を同時に治療しなくては、治りが悪いことがあります。
また尿路結石ができる場所も様々で、尿道・膀胱・尿管・腎臓に結石を形成します。
90%の尿路結石は、膀胱・尿道に存在するといわれています。
ストルバイト尿路結石症と細菌感染
犬のストルバイト尿路結石症では、細菌性尿路感染症(UTI)を併発していることが非常に多いです。(ストルバイト尿路結石症の70%が細菌感染を伴っています)
これを感染誘発性ストルバイト結石症といいます。
UTIは、特にメスの犬で発生します。
感染した細菌は、尿素を加水分解してアンモニアと二酸化炭素を生成し、尿のpHを上昇させ、ストルバイトを生成します。(逆にpHが低下すれば、ストルバイトは溶けます)
ストルバイト尿石の多くは膀胱に発生しますが、犬の腎臓や尿管にも発生することがあります。
ストルバイト尿路結石症の症状
結石の存在する部位によって、出てくる症状は様々です。
無症状である場合もありますが、結石ができることで粘膜に物理的刺激が発生し、炎症が起こり、頻尿・血尿、ひどい場合では発熱・ショックを引き起こす事もあります。
尿管・尿道結石ではヒトと同様に、強い痛みを伴うことがあります。
ストルバイト尿路結石症の治療・フードについて
治療としては3つあります。
・抗菌薬療法を行う
・療法食を与える
・水分摂取量を増やす
まず尿路感染が存在する場合には、抗菌薬療法を行う必要があります。
それと同時にpH(6.5未満が目標)を下げ、ストルバイトを溶かすために、タンパク質・リン・マグネシウムを制限した療法食を与えることが重要です。
また頻回に食事を分けてあげた方がpHが下がりやすいと報告されています。
水分摂取量が増え、その結果尿量が増えると、結晶が希釈されるので結石形成の治療・予防となります。
飲水量を増やすには、ウェットフードを加えたり、ドライフードを水でふやかすなど工夫が必要です。