【犬の流涙症・涙やけ】原因・目薬によるケア・治療法について|獣医師が解説2020年11月19日
【犬の流涙症・涙やけ】原因・目薬によるケア・治療法について|獣医師が解説
犬の涙やけは多くの犬で起こる症状です。
犬の涙は透明ですが、涙を放置し、酸化や細菌繁殖が起こることで涙の色は鉄褐色へ変色してしまいます。
ですので、涙やけを引き起こさないようにするための1番の対策は、眼周囲を専用の洗浄液(ホウ酸含有の製品がオススメです)などでこまめに拭き、清潔にしておくことです。
この記事では、涙やけの原因・対策・治療について解説します。
流涙症が起こる理由
まず、眼科医に眼の構造的な欠陥、感染症、炎症がないかどうかをチェックしてもらうことをお勧めします。
眼疾患であった場合、以下に記載する日常的なケアをおこなっても流涙症は改善しません。
眼疾患でなかった場合ですが、
成長期の犬では、顔の骨格が成長する過程で、流涙症を引き起こすことがありますが、成長が止まり成犬になれば流涙症は落ち着くことがあります。
また短い鼻・異常に狭く湾曲した涙管・前面に突出した目を持つ犬は、解剖学的に涙やけが起こりやすいです。
特に流涙症が起こりやすい犬種は
・マルチーズ
・シーズー
・ペキニーズ
などです。
犬の涙やけの主な原因には、
鼻涙管閉塞・眼瞼内反症などがあります。
鼻涙管閉塞
鼻涙管閉塞は 犬の涙やけの原因として、最も多い原因と考えられています。
鼻涙管閉塞とは、目と鼻をつなぐ涙を排泄する器官である鼻涙管が先天的に細くなっていたり、 鼻涙管の炎症により鼻涙管自体が 詰まってしまうことで発生します。
鼻涙管閉塞への対策としては、犬の鼻のつけ根付近を指でマッサージすることで改善が認められることがあります。
また、カテーテルにより鼻涙管へ生理食塩水などを通すことにより、鼻涙管に詰まっている老廃物が除去され、流涙症が改善することもあります。(全身麻酔下での処置になります)
眼瞼内反症
眼瞼内反症は先天的に瞼が目に入り込んでしまっており、瞼に生えているまつげが角膜に接触し、 涙量が増え、涙やけが発生します。
眼瞼内反症は、外科手術により瞼の内反を正常な状態に戻すことで、治療可能です。
他の原因として、
・逆さまつげ(こまめに逆さまつげを抜くことで、流涙症が改善することがあります)
・異常に大きい涙腺
・異常に小さい涙管の開口部
・ストレス
・薬物
・品質の悪い食事(着色料・酸化防止剤などが多く含まれている)
・アレルギー
・耳の感染症
・プラスチック製のフードボウル
などが原因として考えられます。
涙やけの色の成分について
涙やけの赤茶色の変色はポルフィリンが原因です。
ポルフィリンは体が鉄分を分解するときに生成され、消化管、尿、唾液、涙を介して排泄されます。
すべての犬の涙にはポルフィリンが含まれていますが、特に白色や淡色の犬では非常に涙やけが目立ちます。
涙や唾液に含まれるポルフィリンが白い被毛に長時間付着するとシミになります。
また白い被毛の犬が足を舐めたり噛んだりしていると、その部分の毛も赤茶色に変色します。
涙やけのケア
基本的に犬の涙やけは、ポルフィリンを含む涙を顔に残さないように眼周囲を清潔にすることで防ぐことができます。
例えば、
・顔の毛(特に目周囲)を刈ること
・涙を洗い流すために、少なくとも1日2回、蒸しタオル(火傷しないよう適切な温度にしてください)などで顔を拭き、水分が残らないよう乾いたタオルで再度拭いてください
です。
またホウ酸を含む洗浄液(製品名:ワンクリーン)は、ポルフィリンを洗い流すために非常に役立ちます。
メインとなる日常ケアは上記の2つですが、他には
・ ステンレス、磁器、ガラス製の容器を使いましょう。
プラスチック製のフードボウルには小さなひびが入っていることが多く、それが細菌を繁殖させ、涙やけを引き起こす原因になる可能性があります。
・フィルターを通した水を与えてください。水道水にミネラル分や鉄分が多く含まれている場合があります。
上記に挙げた事にも気をつけた方が良いかもしれません。
犬の涙やけでお困りの方は、当院までお気軽にご相談ください!