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【認知症の治療と介護】老犬の震え・寝たきり・夜鳴きの原因について2019年11月06日

【認知症の治療と介護】老犬の震え・寝たきり・夜鳴きの原因について

 老犬

(最終更新日:2019年11月6日)

 

            【ペットイベント開催のお知らせ 2019年11月30日(土)開催】

当院の獣医師が、月に1回テーマを決めて犬や猫の病気や獣医療についてのお話をさせていただきます。

普段はなかなか聞くことのできない話をわかりやすくご説明します。

今回のテーマは”老犬の食事や病気(下痢など)・介護・保険“についてのお話をさせていただく予定です。

定員数を限定した(50名)無料セミナ-となっておりますので、奮ってご応募くださいませ。

ご応募・ご質問、セミナーの詳しい内容はこちらへお願い致します。

 

 

老犬では、震えや歩けなくなるといった症状がみられることがあります。

獣医学用語では”認知機能不全症候群”といいますが、人の認知症と同じような状態になっていると考えられており、”老犬の認知症”とも言われています。

今回は、老犬の認知症で起こる様々な症状と、当院で実施している治療・提案についてご紹介します。

もし思い当たる症状があれば、行動診療科への受診をオススメします。

(行動診療科のページはこちらからどうぞ)

 

老犬の認知症でよくみられる症状

・震える

・歩けなくなる

・床ずれができる

・家の中で迷う

・うろうろ徘徊する

・部屋の角や家具の間で動けなくなる

・ご家族のことをはっきり認識できなくなる

・いつもと違う場所で排泄してしまう

・いままでできていた行動ができなくなる

・昼夜のリズムが崩れる、夜寝ないで歩き回る

・夜鳴きをする

 

これらの行動は、場所や人の認識が悪くなったり、記憶が曖昧になったりすることで起きていることがあります。

  

夜鳴きはご家族の睡眠を妨害し、大変ストレスになる行動です。またご近所とのトラブルになることもあります。

多くの場合、原因は老犬の認知症に伴う不安感の高まりや、夜間に何かしてほしいとの要求です。しかし時にはせん妄という意識異常を起こして吠えていることもあります。

 

認知に関わること以外にも、視覚や嗅覚といった感覚の機能や、姿勢維持や運動に関わる機能にも低下がみられ、震える、周りのことへの気付きが悪くなる、歩き方がゆっくりになる、うまく歩けなくなる、頭が下がった姿勢になるなどの症状がみられることがあります。

また歩けなくなり、寝たきりになることで床ずれが出来ることもしばしばあります。 

 

老犬の認知症の予後

老犬の認知症の症状はゆっくり進行します。夜間の行動は急にでることもあります。症状が進むにつれてご家族の介護負担はどうしても大きくなってしまいます。運動機能の低下が進むと寝た切り、全介護状態になることもあります。

 

このように認知機能不全症候群の症状は残念ながら現在のところ根本的な治療法はありません。しかし、症状を緩和させたり、進行を遅らせたりすることは可能です。また、介護用品を利用するなどで毎日のお世話を楽にすることも可能です。

 

当院で行っている治療と提案について

当院では以下の治療・提案を行なっています。

 

1 症状全般を緩和する内服薬(セレギリン、ニセルゴリン)

 

◎セレギリン

 アメリカでは1999年から「セレギリン」が犬の認知症(認識能不全症候群)の治療薬として、認可、使用されています。

 セレギリンはモノアミン酸化酵素B阻害剤に分類される薬剤で、脳内のドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンといったモノアミン神経伝達物質の量を増やし、脳の働き活発にする作用があります。これにより、犬の認知症の諸症状を改善すると考えられています。

 セレギリンにはさらに、フリーラジカル除去作用、脳血管拡張作用、神経成長因子(BDNF)増加作用などの脳に良い作用があると考えられています。

 人では主にドーパミン量の低下により生じるパーキンソン病を治療するために使用されています。

 

◎ニセルゴリン

 ニセルゴリンは麦角アルカロイド誘導体の一種で脳循環改善作用、脳神経伝達機能改善作用、脳エネルギー代謝改善作用などの多面的な作用があり、人では脳血管障害、抹消循環障害などの治療薬として1980年頃から使用されている歴史の長い薬です。その効果は犬でも確認されており、イギリスなどで犬の認知機能不全の治療薬として使用されています。

 

 ※国内ではセレギリン、ニセルゴリンを含め、犬の認知症の治療薬として認可されている動物薬はありません。認可外処方という点をご理解いただいた上での処方となります。

 

2 症状緩和、進行予防のためのフード(処方食)

 

 犬の認知症の症状の緩和や進行予防に、フードは重要な役割を果たすと考えられています。

 身体の状態(病気の有無、生活習慣など)に合ったフード、質のよい栄養素を含むフード、脳の老化を予防する抗酸化物質や脳機能に良いDHA、EPAといった成分を含むフードが推奨されます。それぞれの身体の状態に合わせて、獣医師がフードのアドバイスをします。犬の認知機能不全の処方食もご用意しています。

 

3 症状緩和、進行予防のためのサプリメント(抗酸化物質、DHA、EPAなど)

 

 犬の認知症は脳の老化により引き起こされることから、その予防、進行抑制には老化予防(アンチエイジング)や認知機能を高める効果が期待される栄養素をサプリメントで摂取することが推奨されます。ビタミンE、ビタミンC、還元型コエンザイムQ10、フラボノイド、グルタチオンなどの抗酸化物質、DHA、EPA、フォスファチジルコリンといった脳機能、認知機能維持に良い栄養素を含むサプリメントに効果が期待さています。当院では動物病院専売の高品質のサプリメントをご紹介しています。

 

4 適切な運動や脳に良い刺激になる遊びの提案

 

 高齢になると自分から遊ぶことが減り、散歩へのモチベーションも下がりますが、寝てばかりいて運動することや脳への刺激がなくなってしまうと老化が加速してしまいます。それぞれの年齢や身体の状態、性格に合った遊び方、生活の仕方についてアドバイスしています。

 

5 安心、落ち着ける環境と接し方についての提案

 

 高齢になると若い頃のように動けなくなり、生活空間の思わぬところで怪我をしてしまうことがあります。高齢動物に適切な生活空間はどういうものか、アドバイスしています。

 

6 介護用品の紹介

 

 近年では犬の介護用品の開発が進み、さまざまな便利な製品が販売されるようになりました。ペットの状態に合ったものを使用することで、毎日の介護を楽に、適切に行えるようになります。当院の行動診断外来では、最新の情報をもとにご提案させていただきます。

 

7 夜鳴きに対する睡眠薬の処方

 

 夜鳴きは眠れない原因を見つけ出しそれに対処するのが第一ですが、それで改善しないような昼夜のリズムの障害や、夜間せん妄に対しては薬剤の使用が必要です。動物で使用される睡眠薬は、体質的に合わないことや、用量が足りず効果が出ないことがあり、使用においては慎重な調整が必要です。当院では睡眠薬の効果を細かく確認しながら、個々にあった適切な処方調整をしています。ただし病気の末期による夜鳴き(錯乱・せん妄)は改善が難しいことがあります。

 

 

治療・対策についてご興味がある方は、行動診療専門外来にご相談ください

(行動診療担当獣医師 小澤真希子)