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【特発性膀胱炎】猫の頻尿/血尿,原因はフードやストレス?~最新の論文を交えて解説~2019年10月18日

【特発性膀胱炎】猫が頻尿/血尿がでる。原因はフードやストレス?~最新の論文を交えて解説~

 

 

(最終更新日:2019/10/25)

 

 

「あーー!!うちの猫の尿が真っ赤だわ!!

それになんか何度も何度もトイレに行ってる割には全然オシッコでてないじゃない?!」

 

 

そういったことはないでしょうか? 

 

そういった場合は、様子を見るなんてぜっったいダメ!

すぐに病院に行きましょう!

 

 

そのような行動がみられた場合、あなたの猫さんはすでに特発性膀胱炎になっているかもしれません。

 

膀胱炎は猫で非常に起こりやすく、幅広い年齢層で発症します。

 

分かりやすく言うと、生まれてから亡くなるまでに膀胱炎を発症しない猫の方が少ないくらいです。

 

また意外にも猫の尿をじっくり見ている飼い主様は、そんなに多くありません。特に多頭飼いの場合は膀胱炎を見逃す可能性が高いです。

 


 

「まあでもうちの猫達はモグワンのフードを食べて、下部尿路ケアをしてるから問題ないわ!

 

そう仰る飼い主さんもいらっしゃるでしょう。

 

たしかにフード管理は、下部尿路疾患において非常に重要ですし、最近では大手メーカーに引けを取らない質の高い市販食も増えています。

 

ですが、フードだけでは防ぐことのできない猫特有の膀胱炎があります。

 

それが冒頭でお伝えした”猫の特発性膀胱炎“です。

 

猫の特発性膀胱炎は猫の膀胱炎の原因として70%を占めているともいわれています。(その他は尿石や細菌感染によるものです)

 

猫の特発性膀胱炎は様々な原因(特にストレス)により引き起こされ、フードだけでは予防することが困難といえるでしょう。

 

そして実際に下部尿路ケアを謳っているフードを食べているのにも関わらず、膀胱炎を主訴に当院へ来院される方は非常に多くいらっしゃいます。

 

ゆえに特発性膀胱炎の予防・治療として、

下部尿路ケアを謳ったフードにしただけでは、ツメが甘いということがお分かりいただけたのではないでしょうか?

 

ではもっと徹底的に対策するにはどうすればよいのか?

答えは明確で、以下の2つです。

 

猫のストレスをゼロにしてあげるような環境作り(猫のストレスチェックをまずは行ってみましょう)

・フード変更は、安易にしないようにする

これが+αの特発性膀胱炎の対策・治療になります。

 

特発性膀胱炎がフードだけでは予防や治療が困難と分かっていただけたところで、次にさらに詳しいお話をしていきましょう。

 

 

猫の特発性膀胱炎の原因

猫の特発性膀胱炎は膀胱自体が問題というよりも、膀胱に影響を与えているストレスや食事が問題です。

また、血尿や頻尿といった症状のある猫の55~73%が猫特発性膀胱炎が原因だと言われています。

半分以上が特発性膀胱炎ということなので、めちゃめちゃ多いですよね…

検査や治療をしなくとも数日で治ることもあるのですが、また再発し特発性膀胱炎を繰り返す場合がほとんどです。

猫の特発性膀胱炎の症状

・血尿

・頻尿

・トイレに長時間いる

・トイレ以外で尿を漏らす

といった症状が多く見られます。

猫の特発性膀胱炎の検査

血尿や頻尿があるのに、尿検査で尿石や細菌が検出されない場合は、猫特発性膀胱炎が疑われます。

猫の特発性膀胱炎の最新の論文と治療法について

2016年に発表されたLongstaffらの論文(1)によると

 

室内飼いの若齢猫(1歳6ヶ月齢)では特発性膀胱炎の発症率が有意に高かった

 

・1歳から1歳6ヶ月までに新しいフードに変更した場合に特発性膀胱炎の発症率が有意に高かった

 

・フード変更して特発性膀胱炎を発症した猫で、ウェットフードに変更した群(元々はドライフードとウェットフードを半分ずつ混ぜていた)において、1番発症率が高かった

 

・室内飼いの猫は外飼いの猫と比較して特発性膀胱炎の発症率が有意に高かった

 

・肥満や性差(オスかメスか)については特発性膀胱炎の発症率と関係はなかった

 

 

との報告があります。

これらのデータはかなり衝撃的なものです。。。

 

“肥満は膀胱炎を起こしやすいので痩せましょう”だとか

“オスの方がメスよりも膀胱炎を起こしやすいですよ”

“ウェットフードはたくさん水分を取れるので特発性膀胱炎にはオススメです”

 

などとは安易に言えなくなりました…(正直今まで言っていました)

 

ポイントとしては若齢猫(1歳6ヶ月齢)は特に気をつけなければいけないという事ですね。

 

また筆者は1歳から1歳6ヶ月におけるフード変更について、

『同居猫が何らかの病気(腎臓病や肝臓病など)になってしまったために、療法食へフード変更せねばならず、それに伴って若齢猫も療法食を食べる事になってしまったケースがある』

 

とも言っているので、決してウェットフードが悪いだとか下部尿路ケア用のフードが悪いというわけではないと思います

 


 

また2016年のDorschらの論文(2)によると

 

猫の膀胱炎によく使用するNSAIDS(非ステロイド系抗炎症薬)は、特発性膀胱炎には効果がなかった

との報告があります。

NSAIDSは膀胱炎の腫れぼったさを治すために使用する抗炎症薬ですが、特発性膀胱炎には何も効かないという事ですね。(特発性膀胱炎以外の膀胱炎であれば効くこともあります)

 

つまりお薬では猫の特発性膀胱炎は治療不可能という事です。

 

ではどうすれば良いのか…冒頭でも述べましたが

 

猫のストレスをゼロにしてあげるような環境作り(猫のストレスチェックをまずは行ってみましょう)

・フード変更は、安易にしないようにする

 

これに尽きます。

 

 

次回の猫の特発性膀胱炎(2)でこれらについての詳しい話を記載していきますので、是非ご覧ください。

 

 

 

 

(1)Owner-reported lower urinary tract signs in a cohort of young cats

Louise Longstaff1, Timothy J Gruffydd-Jones1, CA Tony Buffington2, Rachel A Casey1 and Jane K Murray1

(2)Evaluation of meloxicam for the treatment of obstructive feline idiopathic cystitis

Roswitha Dorsch1, Friederike Zellner1, Bianka Schulz1, Carola Sauter-Louis2 and Katrin Hartmann1