休診日なし/9-13時/16-19時
金PMのみ14-16時半

予約優先

診療時間 アクセス

ブログ

【繰り返す急性膵炎の食事(フード)・治療】犬・猫の嘔吐/軟便・下痢・血便の症状/原因は膵炎かも?獣医師が解説2019年10月26日

【繰り返す急性膵炎の食事(フード)・治療】犬・猫の嘔吐/軟便・下痢・血便の症状/原因は膵炎かも?獣医師が解説

 data-lazy-srcset=【繰り返す急性膵炎の食事(フード)・治療】犬・猫の嘔吐/軟便・下痢・血便の症状/原因は膵炎かも?獣医師が解説” width=”800″ height=”533″ />

(最終更新日:2019年11月02日)

 

『最近うちの子の嘔吐や軟便・下痢・血便が止まらない! 』

 

『食欲が落ちてるしなんか元気ないなあ…』

 

こんなことありませんか?もしかするとあなたのワンちゃんや猫ちゃんは急性膵炎を発症しているかもしれません。

 

急性膵炎は生死に直結する大変危険な病気です、しかも発生率が非常に高く、一度膵炎になるとまた繰り返し再発することが多いので、注意が必要です。

 

急性膵炎は、何らかの原因で膵液が活性化され、膵臓自体の自己消化と炎症反応を引き起こすことで発生する病気です。

膵臓の自己消化が急速に進行すると、炎症が膵臓だけにとどまらず全身に影響を及ぼすようになり、多臓器不全を引き起こし、死に至ることもあります。

 

当院では、膵炎を発症した症例が多くいらっしゃいますが、

飼い主さんが気づくのが早くすぐに病院に連れてきて下さった場合は、数日の入院で済むことがほとんどです。

 

一方お家でしばらく(1週間程度)様子をみてしまった子達は、2週間入院することもありますし、あるいは急性膵炎が治らず慢性膵炎となり一生膵炎と戦っていかなくてはならないこともあります。

 

ですので、症状が出た時には急性膵炎がかなり進行してしまっている事もあるため、早めに飼い主さんが我が子から発するシグナル(異常な行動)に気づいてあげて、病院で検査を受けることが1番重要なのです。

 


 

まずはあなたのワンちゃんや猫ちゃんに膵炎があるかないかチェックしてみましょう

 

☑︎嘔吐、あるいは軟便・下痢・血便をしている

☑︎元気が無く部屋の隅でうずくまっている

☑︎食欲が全くない

☑︎生ゴミを漁ったり、人間の食べ物を食べる習性がある

☑︎ここ数日ヨガポーズの祈りの姿勢をし始めた  

☑︎以前にも膵炎を引き起こしたことがある

 

上記のような症状がありませんか?もし2つ以上当てはまる場合は膵炎の可能性が非常に高いです。

 

膵炎だと思ったら、早く病院に行って精密検査をしましょう。

 

また膵炎以外の嘔吐・血便・軟便・下痢・食欲不振の原因としては、

・食事・気候・飼育環境の変化

・食物アレルギー

・感染症(寄生虫、ウイルス、細菌)

・胃炎や腸炎(IBDについてはこちらで詳しく解説しています)

・リンパ腫などの腫瘍疾患

など様々なものがあります。

これらは糞便検査や血液検査などを行い、膵炎と鑑別していく必要がありますので、注意が必要です。

 

今回は非常に危険な膵炎についてご紹介します。

命に関わる病気ですので、知識を身に付けて、いち早く我が子の異常に気付くことが出来るようにしておきましょう!

 

犬と猫の急性膵炎とは

 

膵炎は、膵臓から分泌されている膵液という消化酵素が何らかの理由により活性化され、膵臓自身を自己消化し、炎症を引き起こす病気です。

膵臓の自己消化が急速に進行すると、炎症が膵臓だけにとどまらず全身に影響を及ぼすようになり、多臓器不全を引き起こし、死に至ることもあります。

 

 

 

犬と猫の急性膵炎の原因と症状

急性膵炎の原因

原因としては

・ストレス(寒暖差・環境の変化・フードの変更)

・高脂肪食

・高脂血症

・肥満

・内分泌疾患:副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)・糖尿病・甲状腺機能低    下症など

・炎症性腸疾患(IBD)

・肝胆道系疾患:肝炎・胆嚢炎・胆管炎

・外傷による膵臓の損傷

・薬物投与

ー    抗痙攣薬(臭化カリウム、フェノバール), 抗生剤(サルファ剤、テトラサイクリン), 抗癌剤(L-アスパラギナーゼ、ビンクリスチン), 利尿剤(フロセミド、サイアザイド系利尿薬)

 

また犬種や猫種にも膵炎が起こりやすい種があります

好発犬種は、

・ミニチュアシュナウザー

・ヨークシャーテリアなどのテリア種

・アメリカンコッカースパニエル

・キャバリア

・ボクサー

・ラフ・コリー

 

猫では

・シャム

・在来短毛種

 

などです。

 

急性膵炎の症状

膵炎の症状としては

・発熱

・腹痛

・食欲不振

・嘔吐

・軟便・下痢・血便

・脱水

・祈りの姿勢

 

重症となれば、

・ショック

・呼吸困難

・肝炎・胆嚢炎・胆管炎などの肝胆道系疾患

・多臓器不全

・播種性血管内凝固(DIC)

を引き起こします。

膵炎の検査

SNAP cPL(血液検査)

SNAP cPLは、院内で迅速に膵炎の可能性を判定するための院内検査キットです。 検査結果が正常値であれば膵炎の可能性を除外できます、また高値であれば膵炎の可能性が否定できないことが分かります。

犬と猫の膵炎の検査 血液検査

こちらがSNAP cPLの検査キットですが、左の●がコントロール、右の●がサンプルスポットといいます。右のサンプルスポットが左のコントロールと比較して濃い色を発色していれば、膵炎陽性となります。

なのでこの検査結果は右の方が濃いので“陽性”ということになります。

 

 

CRP(犬の血液検査)

犬の生体に感染や組織障害などの炎症性ストレスが起きた際に、血中 濃度が大きく変動する急性相蛋白1つです。

急性膵炎が起こった際に激しく上昇するので、指標の1つとして検査します。(他の激しい炎症を伴う疾患でも上昇しますので、鑑別が必要です)

 

エコー検査

犬と猫の膵炎の検査 エコーコルゲートサイン”コルゲートサイン“と呼ばれる膵炎でよく見られるエコー像です。

 

レントゲン検査

犬と猫の膵炎の検査 レントゲンコルゲートサインレントゲン検査でも稀にコルゲートサインが見られます。

 

膵炎の治療法

 

内科療法を中心に行います。以下の内科療法を併用して治療していきます。

 

・2019年に登場した急性膵炎の特効薬(ブレンダz)を用いる

 

・輸液による血液循環の改善

 

・制吐剤(セレニアなど)による嘔吐制御

 

・鎮痛剤(ブプレノルフィンやブトルファール)による疼痛管理

 

・食事療法(低脂肪食)

 

を行います。

また場合によっては、蛋白分解酵素阻害薬(フオイパン)や低分子ヘパリンを併用します。

 

 

食事療法(フード対策)

必ず低脂肪食を与えてください。

なぜ高脂肪食はダメなのかといいますと、高脂肪食はCCK(コレシストキニン)という物質の分泌を促進し、そしてCCKは膵液の分泌を促します。

そして膵液が過剰になってしまうことにより、自己消化が起こり、膵炎が引き起こされるのです。

また膵炎発症時には、食欲がすでにない場合が多いですが、そのまま断食させてしまうと膵炎の治りを悪くします。

そのため食欲がない場合は強制給餌を行うことが最近は主流となっています。

そして膵炎の際は嘔吐を併発しますので、吐き気止めのお薬は必ず併用します。

吐き気止めを使用せずに強制給餌を行うと、嘔吐し誤嚥してしまう可能性が高いので注意が必要です。

 

 

そして膵炎が治ったとしても、低脂肪食以外を与え続けると膵炎の再発するリスクが上がってしまうので、再発させたくないのであれば低脂肪食のみを与えるべきでしょう。

 

低脂肪食のフードとしては

消化器ケア(PURINA PRO PLAN  nestle)

・消化器サポート低脂肪(Royal canine) 

I/d low fat (Hills)

などがあります。

その他の低脂肪フードも当院で取り扱っておりますので、ご相談ください。

 

また食欲不振で絶食状態の子には強制給餌を行います。その際も低脂肪のリキッドタイプの完全栄養食を使用します。

強制給餌用のリキッドタイプフードとしては

・GIリキッド(Royal canine)

を主に当院では使用します。

また缶詰と水をミキサーで混ぜ合わせて、ドロドロにして、それをシリンジに入れて強制給餌を行うこともあります。

 

静脈点滴

血流循環を良くすることで、膵臓の炎症を緩和させます。これがメインの治療となります。

 

ブレンダ®︎Z

 

膵炎 治療薬 ブレンダz2018年にでた新しい急性膵炎の治療薬です。

ブレンダ®︎Zが発売されるまでは、基本的に静脈点滴と食事療法で頑張るというスタンスで、急性膵炎の治療薬は存在しませんでした。

つまり、ブレンダ®︎Zは唯一の急性膵炎の治療薬なのです。

ブレンダ®︎Zとは…

“フザプラジブナトリウム水和物を有効成分とする注射剤です。有効成分はサイトカイン等の刺激によるLFA-1活性化を阻害し、炎症性免疫応答による白血球の血管壁への接着並びに細胞遊走に伴う組織浸潤を抑制することで、抗炎症活性を示します。犬の膵炎急性期における臨床症状を改善します。”

ブレンダz(出典元:ZENOAQブレンダ®︎Zより)

 

要するに膵炎の炎症をしっかり取り除いてくれるお薬というわけです。

この薬の注意点としては、

・犬でしか使えない(猫では使えません)

・急性膵炎しか使えない(慢性膵炎では使えません)

ということです。

 

急性膵炎があった場合は、食事療法・静脈点滴と併用してブレンダ®︎Zを当院では使用する事にしています。

今まで治せなかった重症な膵炎もこのブレンダ®︎Zのおかげで治すことができるようになりましたので(当院では数多くの症例が、ブレンダ®︎Zにより膵炎の完治に成功しております)積極的に本薬を使用しております。

そして今後、慢性膵炎や猫さん用の膵炎の治療薬が出てくる事が期待されています。

 

 

急性膵炎は非常に危険な病気です。おかしな症状があれば、早めに連れて行き検査してもらいましょう。